城の客間
A. 東 信 (あずま まこと)
“Bibliothèque végétale / Block flowers”
published at 16/12/2020
植物の世界、特に花に対して深い情熱を抱き、壮観なインスタレーションを制作する東 信は、植物の形状や色の無限に広がる多様性を発見し、堪能するための新たな演出を考案し続けています。
こうして、彼はショーモン=シュル=ロワールの図書館のために特別に制作された他に類を見ない植物標本を考案しました。これは透明な樹脂によって永遠の存在となった本物の花が、美的、グラフィック的、色彩的なあらゆる次元で表現されています。
彼は魅力的な白松の彫刻も展示しています。
17世紀、オランダの芸術家たちは「ヴァニタス(空虚)」と呼ばれるジャンルの絵画を通じて、人生の無意味さを表現していました。同じ欲求に駆り立てられた東 誠は、 『ブロックフラワー』と呼ばれる一連の現代的な植物標本を制作します。
彼は、商人の露店であろうとも、日本の山奥であろうとも、直感的に巧妙で感覚的な方法で、作品に使用する草花を選びます。植物は最も美しい状態のものを選び、凍結乾燥させた後、アクリル樹脂のブロックの中に封じ込めます。文字通り「5本の松葉」が束生する五葉松は、その原産国である日本では盆栽として非常によく好まれています。
、植物の自然の美しさとアクリル製キューブの人工的な美しさを組み合わせると同時に、2つの美を競い合わせることが、東 誠の芸術的意図なのです。
こうして彼は、必然に逆らい、はかない命を長引かせ、永遠の愛のように花や松の美しさの時間を止めることに成功したのです。各植物標本は、「直射日光に晒さないかぎり、何世紀も存在し続けることができる」小さな一種の美しいタイムカプセルとなります。
プロフィール
東 信 (あずま まこと)
日本
1976年、福岡市で生まれた東 信は、花屋からフラワーアーティストへと転身しました。
2002年、「オートクチュール」の花屋として、東京の銀座にブティック「ジャルダン・ド・フルール」をオープン。現在、ブティックは南青山にあります。
花屋としての仕事と平行して、2005年に彼は「植物彫刻」と名づけた作品を制作することで、植物を用いた芸術的な表現に取り組み始めます。瞬く間に、彼の創作は日本だけでなく海外でも注目を集めるようになりました。ニューヨーク、パリ、デュッセルドルフなどの都市に招かれ、個展で作品を発表。
2009年、椎木 俊介と共に、植物を題材とした実験的なクリエイションを展開する集団、AMKKスタジオを設立します。その頃から、ミラノ、ベルギー、上海、メキシコなどの美術館やアートギャラリー、公共の場で作品を発表する機会が益々増えるようになりました。
数年前より、東 信は、彼が手掛ける「現代の植物標本」のように、型どおりではなく、人工的な状況で花を演出できる芸術的なプロジェクトに熱心に取り組んでいます。非常に個人的な方法で、植物の美しさにスポットライトを当て続けることが、彼の探求です。