ショーモン城、名誉の階段
A. シェーラ・ヒックス
published at 09/11/2022
サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏の資金提供による注文に対し、シェーラ・ヒックスは、ショーモン・シュル・ロワール城の名誉の階段のため特別に、独創的なインスタレーション作品を構想しました。
「城の名誉の階段の壁に掛けられた「衛星」は、星と惑星に囲まれた庭園の星座のようです。時間とともにつやが出た石灰華の石の白さが、繊維の無数の色との豊かな対話を可能にします。
私を鼓舞し続けるもの、それは反復の拒絶、すでに同じものを絶対に創らないという強い思いです。私には、絶えず新しいものを発明したい、その都度存在しないものを創りたいという願望があります。
この絶え間ない更新への渇望を理解する鍵のひとつは、私の幼少期の相反する2つの世界にあります。私の母方の祖父が街で経営していた「雑貨屋」では、おびただしい数の製品からものを選ぶのに戸惑う一方で、つましい生活をしていた父方の祖母アイダの農場では、常に何もかもを無から作り出す必要がありました。
これら相反する2つの世界の影響が、私が創造に固執し続ける理由を知る手がかりのひとつです。
私は自然に存在しない色彩を創ることが好きです。ですから常に新たな色彩を考案し続けます。壁に掛けられたこれらのカラフルな「衛星」も、こうして衝撃と驚きを提案しています。
私の目から見れば、すべての色は互いに調和します。それは、様々な素材の層のボリューム、光のボリュームと、絡まり合い、引き伸ばされた絹糸またはリネンの糸の色の筋にできる影の濃さのような、作品に色の存在感を与える要素しだいなのです。
色からはエネルギー、スピリチュアルなパワー、穏やかな感情が生まれます。
色は純粋な感情を生み出し、魂に直接語りかけることができるのではないでしょうか。」シェーラ・ヒックス、シャンタル・コルー=デュモンによるインタビューでの発言。
シェーラ・ヒックスは、糸、繊維とその色を、画家が顔料を使いこなすように、驚くべき技量でもって使いこなします。
それぞれの創造が彼女にとっては旅であり、探究です。彼女は色鮮やかな驚くべきボリュームと様々な自然繊維や人工繊維で作り上げたモニュメンタルな繊維の意匠とともに探究に乗り出し、それらは常に彼女に寄り添い、それらを用いて彼女は無限にポエティックな世界を創り出すのです。
ウールやリネンの壮大なインスタレーションや繊細なコラージュや織物もまた、数え切れない発見の旅の最も風変わりな場所で彼女が見つけた糸に関するあらゆる実践についての深い造詣を持つこの偉大なアーティストの色の科学から生まれます。
プロフィール
シェーラ・ヒックス
アメリカ
シーラ・ヒックス(Sheila HICKS)は、1934年米国のハスティングスで生まれ、1964年以来パリに住み、活動しています。他の分野から抽象する長い伝統をもつモダンアートを基本に、米国のシーラ・ヒックスは、民衆的な工芸・織物の伝統を新しくよみがえらせ、絵画や彫刻と彼女の織物の作品との境界が見えにくくしています。エールでヨーゼフ・アルバースを師として学んだ後、彼女は1958年から1959年まで南米旅行の際に、繊維について研究を始め、コロンビア、チリ、ペルー、ボリビアの織物工芸から多くを学びました。繊維はその後、彼女の作品の主要な素材になりました。シーラ・ヒックスは、自分の仕事を、旅行や研究から得た知見をもとに、作品と観客との間の実際のやりとりや、作品が展示されている建築との間のインタラクティブなプロセスとして認識しています。