歴史ある大庭園
05. ヴァンサン・バレ
"Couronnes d'arbres" と "Chaos"
published at 16/12/2020

COURONNES D'ARBRES, 2020
「公園の遠く離れたあまり目立たない場所に、3本の素晴らしい巨大なオークの木が一か所に集まって生えています。
この3本のオークのために、 『Couronnes d’arbres(木々の冠)』 が、それぞれの幹を囲む一組の網として展示されています。 最初の枝の高さに配置された絡み合う作品の正体は謎に包まれたままです。それは光を通過させ、樹木の幹を透かし見せるある種のリング、鳥の巣、薄い膜の繭のようでもあります。幹が奇妙に寄り添っているため、、ぱっと見では気づくことのできない作品は、好奇心を誘い、無重力の支配に関する空想を生み出します。彫刻家の手によるこの存在、このリングのモチーフは、ドメーヌのいたるところに出現する官能性、人と木の間に生まれたある種の同盟を表しています。
これらの網は、森の反抗的な力を思わせるエロティックでディオニュソス的な意味を持つイチジクの木の枝から作られています。まず各枝を青銅で鋳造します。次に、各パーツを組み立てて溶接します。これは、空間の中で即興的に本物のデッサンを描く作業です。作品が自然の形態により近づくほど、それは幾何学であり、構築された集合体となります。青銅に緑灰色で古色を付け、苔に近い色調のレッドオーカーとイエローオーカーでアクセントをつけることで、自然な錆のような色を出します。こうして作品は、模倣的でほとんど隠された性質を強めます。
この手法は、2014年に、 ショーモン=シュル=ロワールにある厩舎の天蓋の『ジャン・フーケの王冠』、そして パリの国民議会のコミュニティ「コンパニオン・ド・ラ・リベラシオン」に捧げられた記念碑のための『ラモーの柱』に対して、初めて採用されました。 これは新しいフォルムにインスピレーションを与え、2018年にフォンフロワド修道院の参事会室に展示されました。2019年、ブザソンン美術館で大規模な展覧会が開催され、2020年夏には、フジェール市の公園の水上に1つの作品が設置されました。」ヴァンサン・バレ
CHAOS, 2014
ショーモン・シュル・ロワールでヴァンサン・バレが提示する作品は、アーチストが自然とどのような関係を持っているかを強く反映しています。
アミリーのニヴェル(ロワレ県)における、レジスタンスのための記念碑として、最初の彫刻作品が制作されました。これは年輪、皮膚、大きな体躯を持った木のメタファーが活かされています。木の幹そして同時に人の体を表す柱の列は、ポリスチレンのブロックから切り出されてその形に鉄を溶かして作ったものです。その柱列は、レジスタンスの年齢を示し、上部が切断されているのは中断を意味しています。
想像上の生きた形状から物質的な形状へのシフトは、その後の彼の「直立した」あるいは「横になった」彫刻作品に絶えずみられるものです。その後、2010年頃を境に、組み立ての中に木が使われるようになります。それはアルミニウムの柱の横に立てられた「仲間」という幹、それはアルカイックなふたつのルソーにようです。そして「カット」は大きな二つの双柱で木と金属が交互に使用されています。
丘の端に位置する歴史ある大庭園に、アーチストは6つの要素からなる鋳鉄の彫刻を配置しました。見学者は、移動しながらあるいはブロックの間に一休みしながら、円形に切り取られた変化する風景を、これらの彫刻を通してみることができます。
プロフィール
ヴァンサン・バレ
フランス
フランス

1948年にフランスのビエルゾンに生まれたヴァンサン・バレは、パリの国立高等美術学校を卒業しています。偉大な建築家ルイ・カーンの弟子で、都市計画の博士号と建築家の免状を取得します。2011年までパリの美術学校で教鞭を執ります。サン・フィルマン・デ・ボワ(ロワレ県)とパリで活動をしています。